L:簡易宇宙輸送艦の開発 = {
 t:名称 = 簡易宇宙輸送艦の開発(イベント)
 t:要点 = {
  簡易型宇宙輸送艦は生産力はあるが技術力に大きく劣る現状のにゃんにゃん共和国の現状を映した機体である。ほとんど宇宙を飛ぶエンジンつきコンテナであり、戦闘のことは考慮されていなかった。
 }
 t:周辺環境 = 宇宙



L:なべのぐライン = {
 t:名称 = なべのぐライン(施設)
 t:要点 = なし
 t:周辺環境 = なし
 t:評価 = 装甲0⇒HQ継承(第3世代)SHQ継承(第1世代)
 t:特殊 = {
 *なべのぐラインの施設カテゴリ = 建築物として扱う。
  *なべのぐラインの位置づけ = 交通機関として扱う。
  *なべのぐラインの設置 = なべのぐラインは鍋の国に設置する。
  *なべのぐラインの床面積 = 1000m2とする。
  *なべのぐラインの構造 = 3階建てとする。
  *なべのぐラインの特殊効果1 = 軌道上にターンごとに100万t(300人機) HQ取得HQ継承(第2世代)※⇒ 150万t(450万t)までの物資を打ち上げることが出来る。
 }
 t:→次のアイドレス = 宇宙強襲揚陸艦の開発(イベント),星間リンクゲート(施設),宇宙港(施設),ビーナスエクスプレス(施設)


HQB振り替え許可
遠宇宙用輸送機開発への経緯と道程

簡易輸送艦は、共和国の乏しい宇宙への輸送力を少しでも補うために開発された、言わば「宇宙コンテナ船」である。
デザイナーまきによる今回の輸送艦コンセプトデザインは、マスドライバーを利用した打ち上げの低コスト化、少人数での運用が可能なこと、及び連結することにより一度の打ち上げで必要時応じて輸送量を増減できることである。

ニャンキーズ級宇宙戦艦は海面を利用した単独打ち上げ可能な宇宙艦である。
そのためI=D等艦載機の収容量があまり多くない。
これを補い、宇宙の戦場に十分な兵力及び物資を輸送することを目的としたのがこの簡易宇宙輸送艦の開発計画である。
また、現在計画中の鍋の国宇宙施設建設の為の資材の打ち上げや、その宇宙施設から遠宇宙への輸送力の確保も重要な目的とした。

遠宇宙用の輸送機の開発にはかなりの時間を要した。
ニャンキーズ級宇宙戦艦製造時のノウハウを参考に、鍋の国ではまず地上-宇宙間の輸送機をこのプロジェクトのプロトタイプとして、最初の簡易輸送機の開発が行われた。

〜Ep.0〜 プロトタイプの開発

簡易輸送機はニャンキーズのようなSSTO(単段式宇宙往還機)ではなく、マスドライバー使用前提で開発計画が進んでいた。

目指すべく遠宇宙用の輸送機の開発に向け、地上-宇宙間プロトタイプの段階から、地上からの打ち上げにはマスドライバーを採用した。
このマスドライバーはいわば巨大なリニアガンであり、第一〜第二宇宙速度までの加速を輸送艦に与える。
(プロトタイプの開発とマスドライバーの建造計画は平行して行われ、輸送艦が完成するより先にマスドライバーの落成式が行われた)
この為、鍋の国の密林の間をジェットコースターのようなレールが縦横無尽に敷かれることになった。

加速部のレールは普段、ジャングルにカムフラージュされ、鍋山の斜面を利用した上昇用カタパルト部は通常時は地下へ収納されている。
このマスドライバーの起動・展開テストに立ち会った某は左右に倒れる椰子の木を見て

「サン○ーバード基地だっ!鍋が南国で良かった、いいもんが見れた…」

と大興奮したという。



プロトタイプの外装は装甲というより、再突入時の熱対策でニャンキーズにも利用された鍋の国の誇るセラミックで底面を断熱コーティングされており、上面にはソーラーパネルが設けられ、艦内の生活維持装置などの電力を補助する。
宇宙での推進力はニャンキーズ同様、イオンエンジンを使用し、ノーズブロックに打ち上げ後の静止及び方向転換用にやや強力なスラスタモーターを備えている。
再突入時は落下傘のように広がる耐熱コーティングを施した円錐形のバルーンをカーゴブロック一つにつき4つ膨らませ、機体を減速させる。
このバルーンは着水時に機体の浮子となる。
ニャンキーズのように洋上航行能力はないので、船舶による回収が必須である。

このように地上-宇宙間の輸送機プロトタイプは、マスドライバー方式を利用した大気圏離脱能力や、ニャンキーズ級と同じ耐熱セラミック構造材を採用した大気圏再突入能力を備えており、中々優秀な性能を搭載することに成功した。

そして、技術者達は手ごたえを感じた。
プロトタイプで得た経験とデータを元に、今度は今の共和国に必要な、遠宇宙への長距離輸送に耐えうる輸送機の開発に乗り出すことにしたのである。


〜Ep.1〜 そして宇宙用長距離輸送機の開発へ





こちらが今回鍋の国が新規開発した、宇宙用輸送船である。
宇宙空間における長距離輸送を純粋に突き詰めた設計であり、戦闘などは考慮されていない為、基本的に武装などは存在しない。


船体の構造はコンテナ船である故、そのほとんどがカーゴブロックである。

居住区画を兼ねたコクピットを含むノーズブロックを先頭に、貨物輸送用コンテナカーゴブロックを複数連結、最後に、推進を担うエンジンブロックを接続する形を取っている。
このノーズブロックとエンジンブロックの間にカーゴブロックを連結させることで、パイロットの増加無しに運搬量を増やすことができる。

直列されたコンテナの集合した姿は宇宙艦というより、まるで巨大な列車のような外観を有している。
これはプロトタイプからの、デザイナーまきのデザインコンセプトである。

列車型とは言っても、各ブロックは相互に固定し合っており、船体は常にまっすぐな棒状のまま宇宙を走る。
プロトタイプでは各ブロックは連結こそしたものの固定まではしていなかったが、今回の宇宙専用の輸送機では、安全のため固定されている。


1コンテナ辺りの長さは約300m(連結基部含む)。コックピット・エンジンはそれぞれ100mほどとなっている。
なお最大連結数は、コックピット1、コンテナ6、エンジン1の、8ブロック連結である。
全長と積載能力の兼ね合いの関係でこれ以上の数を連結した場合、構造上危険が出てくるという事で9ブロック以上の連結は禁止されている。


コンテナブロックは輸送する際の貨物を搭載するスペースである。
また全て同じ形状のモノが使われているので生産力さえあれば大量生産も可能であり、一つが壊れても予備と交換すればよい。
交換による利便性も考えた上で列車構造型が採用されたのである。


コクピットブロックは通称ノーズブロックとも言われている。
これは輸送艦が列車の形状をしているが、コクピットブロックは輸送艦が出発した時点ではつねに先頭に出ているからこういった通称が使われている。
また居住区画を兼ねており、パイロットは運転中はこのブロックで生活をする。


エンジンブロックは、推進剤保管コンテナと、対消滅エンジン、そして推進機の、計3つで構成されている。
対消滅エンジンは、NWにおける宇宙艦船の発動機としては比較的ポピュラーな代物だが、非常に大きな、そして危険な類の力である事には変わりはない。
これについて取り扱いは慎重に行い、また情報漏洩などが起こらない様、対消滅エンジンの取り扱いや整備については軍事機密としてしっかりと注意が払われている。

推進力については、対消滅エンジンで生み出した電力を利用している。
比推力が高い電気推進(アークジェット方式)を使う事で、航続距離の延長を図っている。
推進剤は、安全かつ保管しやすいよう氷結させ、個体状態で保存されており、使用時は液体状態を経て推進機内でプラズマ化し、推進力へと転化される事になる。




輸送艦は宇宙空間での移動なので、航路の中間地点までは常時一定の加速度を維持し、中間地点より先は、同じように減速を行い続ける必要がある。
しかし、本船の主推進機は姿勢制御用のバーニアは別ではあるが、基本、エンジンブロックの1箇所である。
エンジンから離れた場所に別途推進機を設置する事も難しいと考えられた。
その為、減速開始の際は、船体を180度転回(方向転換)させ、(目的地にお尻を向ける形で)噴射を行う形がとられた。
この事により、出発地に向けて頭を向けた状態で目的地に到着するので、帰り道での出発のために向きを変える手間はいらなくなった。

転回時、転回速度に応じた遠心力がコックピットブロックにかかる事になるが、これについては、およそ1Gの衝撃ですむように、全長と転回時間が調節された上で転回をするようにプログラムが組まれている。
転回の所要時間は、全長2kmの場合でおよそ500秒。
全長が短ければ、その分だけ短時間になる為、輸送の状況に合わせて輸送量、所要時間が変わる。


本機の操縦については、武装を持たないため、ニャンキーズよりさらに少ない人員で運用できる。
少人数でコントロールできるよう管制系統がプログラミングされており、また、共和国の共通I=D操縦プログラムを元にしたシステムを利用しているため、パイロットカテゴリーの職を持つフィクショノート及び猫士であれば繰艦可能である。



この宇宙用輸送機が完成に到るまで、長い年月を要した。
なにせ構造が特殊ゆえ、いきなり本番ではなく地上-宇宙間用のプロトタイプ製作から始まったのだ。
(なお、この通称プロトライナーの運用そのものは、宇宙ステーション完成まで継続される予定である)

共和国の宇宙輸送力を担うため、試作・実験・検証を来る日も来る日も繰り返し、データと経験を積み重ね、この宇宙用輸送機はついに完成した。
コンテナが連結されたライナー型輸送機。
それは貨物だけでなく、デザイナーや技術者達が籠めた想いを、遠い宇宙まで運ぶだろう。

「共和国の乏しい宇宙への輸送力」は、ここで終わりを告げるのである。






〜Ep.3〜 【SS】宇宙発展を目指す人々

 鍋の国のニャンキーズに続いて開発が行われたのは輸送艦であった。輸送艦を開発するには輸送艦を運用する為の整備やパイロット育成も必要である。そんなパイロットを育成する為の講習会会場に一人の女性がいた。彼女の名前は野鍋さくら、鍋の国でも少数しかいないスペーススターシップオフィサーを目指している少女である。

「この講習会が私の第一歩……」

 感慨深くつぶやく彼女、そんな彼女を見て溜息をつく少年が一人。彼の名前は原鍋風吹。さくらとはいわゆるお隣さん、いわゆる幼なじみの関係である。目下の悩みは年齢が一個上のさくらに弟のように見られている事である。

「さくねぇ、入り口で止まっていたら他の人の邪魔になるぜ」

「え、ああ、それもそうね」

 さくらはそう言うと颯爽と部屋の中に入っていった。風吹は再び溜息をつくと後に続いた。


 講習会場は学校の教室のような部屋であった。黒板、複数ある机に教卓。講習といってもいきなりパイロット訓練や整備訓練をする……のではなく、初めの挨拶と説明をするといった所なのであろう。パイロット候補であるさくらと整備候補の風吹が同じ場所を指定されている所から考えてもいきなり訓練というわけでもなさそうだ。

「まだ、そんなに人きてないわね」

「当たり前だよ、40分も早くくるヤツなんてそうそういないって……」

 風吹だって本当はもうちょっとのんびりしたかった……が、さくらの母親からもう家を出たと聞いて慌てて追いかけた。朝ご飯を抜くハメにはなったが、まぁ一緒に来る事ができたので問題はない。

「まぁ、ラッキーってとこかな。好きな席取れるし」

「……そうだね」

さくらは早速一番前の席に陣取った。やる気満々なのは構わないけど一番前かよ……と風吹はさくらの隣の席に座った。



20分もすれば続々と人が入って来た。年齢も性別も様々である。しかし、集合時間までに残り20分の時点で人が集まる……それだけ参加者の宇宙への期待は強かったのである。そして、講師がやってきた時には席が埋まっていた。

「皆さん、こんにちは。これから鍋の国輸送艦スタッフ講習説明を行います。私は輸送艦のテストパイロットを行っているジジと言います。……まぁまだシミュレーション上でしか運転していませんが、皆さんの先輩として輸送艦の説明をさせて頂きます」


 ジジと名乗った男はそう自己紹介をすると早速プリントを配り始めた。配られたプリントには輸送艦の概要やパイロット、整備においての注意面をまとめたレジメ、契約書、同意書などのいくつもの書類が含められていた。ジジの説明をジっと聴く講習会参加者。ジジの声が響き渡る室内で、風吹だけはさくらがみょうに輝くような目でジジを見ている事に気づき、不安を感じていた。

 風吹にとってはとても長い時間であった。が、実際には説明は二、三十分もしないうちに終わった。

「それでは、これから十分間、休憩に入ります。その後にパイロット候補、整備士候補で別れて職場案内を行いますので十分後には再びこの教室で待っていてください。それでは解散!」

 早速、さくらに先程のジジへの目線の理由を聞こうとした風吹だったが、さくらの方が行動が早かった。部屋の外へ出たジジを追いかけたのである。

「……」

 風吹はモヤモヤとしつつも、扉を開けて後を追いかけた。ジジを呼び止めたのであろうか? さくらはジジと二人で話していた。風吹はそっとさりげなく近くまで行き、窓の外の景色を見るようにしつつも、ジっと耳を傾けた。


「噂でジジさんが打ち上げ仕様のパイロットをしていると聞いたのですが……」

「ああ、そうだよ。よく知っているね」

「はい、私、スペーススターシップオフィサーを目指していまして、先輩のようにがんばります」

「あ、ああ、ありがとう。うん」

 嬉しそうなさくらの声にジジの照れていそうな声。モヤモヤが一層強くなった風吹はその場を後にした。



 整備士の職場案内中にもそのモヤモヤは強く残った。あの後何を話していたのか? 結局休憩時間中にさくらが戻ってくる事はなく、ギリギリまで教室の外にいたようだ。風吹は講習会が終わった後、さくらを探したかったが、整備士とパイロットの解散場所は違っており、もう終わったかどうかの確認もできなかった。講習会を行った会場は携帯禁止エリアだったのである。新造輸送艦についての守秘義務もあり、携帯を使用するだけでも咎められるであろう事もわかっていた風吹は家に帰った。さくらの母にさくらはまだ帰っていないと聞いた風吹は部屋の中で窓を見ながらさくらが帰ってくるのを待った。

 二、三時間も待っただろうか? 窓からさくらが家に帰ってきたのが見えた。風吹は慌てて家を出た。

「さくねぇ!」

「風吹、もう帰ってたんだ?」

「それより、さくねぇ。最初の講習説明が終わった後にジジ……さんと話してたみたいだけど……」

「え、ああ、見てたの? ジジさんってスゴイよねぇ」

 さくらはそう言うと少し顔を赤くして語りだした。

「ジジさんってやっぱりスゴイわ。輸送艦とかプロトライナーをシミュレーション上で動かせるシミュレーターを参考として動かして見せてくれたんだけど、シミュレーションを動かしながら一つ一つ説明してくれたの。ここはフットレバーを軽く踏むとか、気づかないうちに推進剤を使いこんでしまうタイミング……そんな説明をしていたのに、想定タイムキッチリ、コンマ一秒遅れることも早く着くこともなかった……それにね、信じられい事なんだけど、推進剤の消費量も規定キッチリだったの……。本人は練習の賜物だって言ってたけど、あれは思い出しただけで震えてくるぐらいすごかった……」

 さくらがうっとりとした顔で思い出したのかブルっと身体を震わせている。風吹は面白くない……と思いつつも、気になる点があったので問いただした。

「やっぱり……ってどういうことさ?」

「え、ああ、風吹、私がスペーススターシップオフィサーになりたいのは知ってるよね?」

「それはもちろん」

 スペーススターシップオフィサーとは鍋の国でも少数のパイロットしかいない職業の一つである。また、鍋の国でも宇宙艦船パイロットとして操縦ができる数少ない職業でもある。また鍋の国の主力の舞踏子が宇宙艦船を操縦できない事、他の職業で宇宙艦船操縦技術を持っているのがパイロット、テストパイロットなので鍋の国宇宙艦船パイロットとしてはスペーススターシップオフィサーが花形職なのである。さくらは宇宙艦船パイロットを目指しており、つまりスペーススターシップオフィサーを目指している。
#スペーススターシップオフィサー個人所有者は鍋の国PLに二名。テストパイロットも同じく個人保有アイドレス。

「ジジさんはスペーススターシップオフィサーとして超有名な人なのよ? 私がずーっと憧れている人。……まさか、今日講師として現れるなんて、夢にも思ってなかった……」

 さくらの嬉しそうな声にモヤモヤが止まらない風吹。憧れと恋は別物ではあるが、それでもいつ変わってもおかしい事はないのである。

「さくねぇ、今日、ジジ……さんと何話したんだよ」

「え、そんな事言えるわけないじゃない」


 恥ずかしそうに言うな! と叫びたい心を風吹はジっと我慢。しかし、さくらは全然そんなことに気づいていなかった。

「第一、職務に関する事は他人にしゃべっちゃダメなのよ? 特に今回は軍事機密特大なモノだってあるんだからね。風吹、あんた気をつけないさいよ?」

 まるで子供に言うかのように言うさくら。いつもは気にしない事だが、今日は気になった。

「……さくねぇ、俺、子供じゃないんだけど?」

「何言ってるの。あんたはまぁ私にとっちゃ弟みた」

 バタン!


 それ以上聞きたくなかった風吹はそのまま家の中に入った。扉の向こうでさくらが何か言っているのが聞こえるが、無視した。
 
 




「それは……なんとも風吹君、ご愁傷様だね」

「? 何故ですか?」

「いや、まぁ指摘するのは簡単だけど、まぁねぇ……」

 数日後、シミュレーション訓練の待ち時間の間、なんとなくさくらが風吹の話をするとジジは苦笑した。

「整備の方から聞いているけど、風吹君。結構優秀だそうだよ? 注意とかしなくても大丈夫だよ」


「え、でも……」

「心配するのはわかるけど、時には何も言わないで見守るのも大事だよ? 心配じゃなくて信頼したらいいんじゃないかな?」

「信頼……ですか」

 悩むさくらにジジはまぁ、すぐには難しいだろうなぁっと思いつつも風吹の為にアドバイスを続けた。

「あと、弟みたいに思っているってのは禁句ね。例えそう思っていても本人には言わないこと」

「? 何故ですか? 別に悪い事じゃないと思うんですけど?」

 ジジはなんだかこの子達は微笑ましいなぁっと思いつつも答えた。

「男の子は男って認めて欲しい時もあるからね」

「……はぁ、そうですか」

 その時、ビーっと音がなるとシミュレーターから人が出てきた。

「さて、次は君の出番だね。さくらさんはプロトライナーにはもう乗ってるんだよね?」

「はい、まだ副操縦士ですけど、宇宙ステーション建設作業に参加できて光栄だと思っています」

「シミュレーションでいい結果が出ると操縦士もそうだけど、輸送艦の最初のパイロット担当できるかもしれないからがんばってね」

「はい! がんばります」


/*/


「準備OKです。良い航海を! お二人供、お気をつけて!」

「ありがとう、じゃあいってくるよ」

 通信のあったオペレーターと挨拶をかわすと、ジジとさくらは発信シーケンスを順番通りにこなしていく。何度も行った訓練の結果、それこそ目をつぶっていてもできる作業である。ジジは緊張してはいないだろうと思いつつもさくらに話しかけた。

「……そういえば、今回の船、整備主任は風吹だって?」

「はい、そうなんです。ジジさんが乗る船だからって張り切っていましたよ」

「いやー、タブンそれはチガウと思うけど……ジレったいなぁ」

「?? 何がですか?」

 ジジはこの二人は微笑ましいというか、展開遅くて後押ししたくなる二人だなぁっと思った。風吹がもう少し本音をさくらに話せばいいんじゃないかなぁ……。

お喋りをしつつも二人とも手を止める事はなく、チェックも終了した。

「システムオールグリーンです。問題ありません」

「OK、じゃあ、頼みますよ? 副操縦士さん」

「はい! もちろんですジジさん」

/*/

〜 STAFF LIST 〜

◆開発:鍋の国
イラスト:まき
設定文:まき、銀内 ユウ、矢上ミサ
SS:銀内 ユウ
Special thanks:大統領府メカ部の方々