●アイドレス工場(施設)…E108の空爆により破壊、E110再建
L:アイドレス工場 = {
 t:名称 = アイドレス工場(施設)
 t:要点 = 工場,乗っているライン,工場で働く国民
 t:周辺環境 = 工業地帯,工業に向いた地形
 t:評価 = 住みやすさ0
 t:特殊 = {
  *アイドレス工場の施設カテゴリ = ,,国家施設。
  *アイドレス工場の位置づけ = ,,{建築物,工場}。
  *アイドレス工場の面積 = ,,1000m2。
  *アイドレス工場の乗り物生産 = ,任意発動,(生産フェイズごとに){I=D,ウォードレス,人型戦車,戦車,航空機,RB,位置づけ(独自兵器)のアイドレス}を任意の組み合わせで25人機分生産可能。
  *アイドレス工場の資源消費 = ,条件発動,(<アイドレス工場の乗り物生産>を行う場合)資源−5万t。
  *アイドレス工場の整備補正 = ,条件発動,(<アイドレス工場の乗り物生産>を使用しない場合、そのターンの整備フェイズでの)整備、評価+8。
 }
 t:→次のアイドレス = I=Dの改良(イベント),大型I=Dの開発(イベント),整備工場(施設),造船所(施設)#原素子(ACE)&BALLSは差し替えになっていますが、ここから派生していることに変更はありません。


〜鍋の国のアイドレス工場、これまでのあゆみ〜


〜かつての工場風景〜
【工場】【工業地帯】【工業に向いた地形】(絵/まき)

 鍋の国の工業地域は蓋下地方に広がり、特にアイドレスを生産する工場は3つのセクターに分けられるほど巨大です。
各セクターには、作業員が楽しく業務を進めることができるよう、
工場の周りには緑の多い息抜きのための公園や鍋会場などが設置されているといった工夫がされています。
近年になって、鍋の国でも機械化が進み、生産効率が飛躍的に高まったことをきっかけとして、
鍋を食べ終える平均的な時間を基準とした「ナベ」を基本単位として統一しました。
全ての工程を数値化することによりさらなる生産の効率化を図っています。
 工場は24時間稼動しているために、4交代のシフト制を採用していますが、
勤務明けには工場から振舞われる絶品の鍋をまかないとして食べることができるため、
鍋を愛する国民にとって短時間での交代は作業のモチベーションを維持することに役立っています。
 3つのセクターはその広大さゆえに互いにやや離れた場所にあるため、週に一度はセクター合同の鍋会を開き各部署の交流を図っています。
セクター同士の協力体制を強化することが目的ですが、大人数で鍋を囲むことが好きな鍋の国国民にとってはごくあたりまえのこととも言えます。
そして工場の三か条として「安い、早い、巧い」が掲げられており、低コストで効率良く、
より完成度の高いアイドレスを生産するため作業員一丸となって取り組んでいます。



【工場】【乗っているライン】【工場で働く国民】(絵/まき)

 第1セクターはアイドレス生産のメイン工場で一番多くの人員が割かれています。
主にアイドレスの組立てを行ったり各部位のパーツを生産していますが
アメショーなどが生産ラインに組み込まれており、それぞれのラインは流れ作業と分担作業で行われていきます。
機械化が進んだとは言え、精密で繊細な部分を担う各パーツの生産は多数の鍋職人が手作業で進めています。
ほとんどのパーツは機械が大量生産しますが、中でも滑らかで歪みのない曲線を必要とするパーツは鍋の加工技術を応用しているため、
国から認定された資格を持つ鍋職人が仕上げの作業を行います。
 また、第1セクターは王猫様が頻繁に視察に訪れる場所でもあり、
運が良ければアメショーのにくきう迷彩タイプに御自ら塗装し、柄をつけてくださるため、そのお姿を一目見ようと日夜国民が見学に来ています。
王猫様の手形の付いたアメショーは勝利を呼ぶアイドレスとされ、
決して損傷させまいとするパイロットの根性により敵の攻撃を必死に避けるアイドレスでもある、パイロット達があこがれる機体として有名です。
鍋の国国民であるならば自由に見学することができる工場ですが、事前に予約が必要になっています。
見学時には工場作業員と同様の鍋型のヘルメットと、
目を保護するための眼鏡を着用しなければ工場へ入ることができないという、安全面についても徹底しています。


 第1セクターより南に位置する第2セクターでは、第1セクターで生産されたアイドレスや既存のアイドレスの整備をしています。
非常にデリケートな調整をするため、小さなミスも許されません。
作業員は細部までチェックを行うことができる特別な眼鏡を使用し、作業を行います。
手先の器用な猫士を中心に整備やアイドレスのデータの収集などの作業を担当しています。
機体や計器類の調整といったメカニックなチェックをはじめ、アイドレスに常備している非常食や装甲の塗装といったものも合わせて整備されます。
それら精密機器や備品などの研究開発を行うための部署が第2セクターに配置されています。
機密保持のためのセキュリティが厳しく出入りには何重ものセキュリティチェックを課し、研究所の所員以外の国民には公開されていません。
 現在、研究所では鍋蓋型シールドの開発を進めており、
先日フェーズ2の段階で作られた試作シールドは蓋の持ち手部分の脆弱性が発見されたために、
さらなる改良を加えようと鍋蓋の研究に取り組んでいます。
有名なちくわ砲もI=D用に改良しながら鋭意開発中です。また、研究所では広く新兵器のアイディアを募集しています。
一般国民には個人で工場を構える人もいて、協力を促しています。



【工場】【工業地帯】【工業に向いた地形】(絵/鍋衣千世)

 第2セクターから少し離れた場所で、第1セクターに比較的近く隣接している第3セクターは
最終的な製品としてのアイドレスのチェックを行う試験場になっています。
稼動のチェックの後に、モーター、センサーの詳細な特性・設定・故障機能を用いることにより、
実機の破損・ 磨耗のため従来難しかった反復テストや極限テストといったフェールセーフテストもこのセクターで実施していますので、
工場の作りは非常に堅固です。
いざというときにはシェルターに使用することも可能という話もあります。
猫士の毛による故障チェックや、鍋の汁をこぼしてしまった場合に発生する障害の耐久チェックなどチェック項目は非常に多く、
最短で3日6ナベの工程を必要とします。
チェックには安全を期して数人の担当者が同様のチェックを行い、データの整合性を確認する形式を取っています。
最終チェックを通過できたアイドレスは専用の搬出口を使用し運搬されます。


 アイドレス工場では鍋高の学生の姿が見られる事がある。鍋高にはパイロット科があり、
そこのパイロット(もしくは舞踏子)がアイドレス工場で作られたアイドレスの様子を見にきているのだ。
試運転チェックなどの協力という目的もあるが、実際の理由は「鍋始め」にある。

 鍋始めとは、新しく作られたI=Dの中で鍋をする事である。
戦闘移動中などにアメショやペルシャ、鍋ショの中で食事を取ることもある。
そんな時の食事は戦闘配備中でないかぎりは、鍋をする。
その鍋は鍋の国を思い出し、かならず作戦を成功させて、国へ帰ろうという思いがこもっているのだ。(とパイロットは力説する)

 鍋始めはそのI=D内での始めての鍋の事である。
どんな戦いからでも必ず帰ってこれるようにあらかじめ鍋をI=D内で食べて、鍋のI=D倉庫に収めることにより、
鍋食べてから家に帰ることができたという事で今後の戦いでも鍋を食べて鍋の国に無事帰ってこれるハズだというげんかつぎである。
まぁ、それだけでなく、新しい機体で鍋を食べるのは何か嬉しい事だし、一番最初に自分が鍋をすれば自分の愛機のようにも思える。
実際にそのI=Dを自分が使うかどうかはわからないし、もしかしたら他人が乗るかもしれない。
しかし、機体内にこもった鍋のにおいでかならず国に帰ろうと思わせ、鍋の国へ無事に帰れたらいい……そんな思いを込めつつも鍋を楽しむのである。

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そんなアイドレス工場は今はその場所を大きく移されている。


宇宙からの空爆(EV108)により、鍋のアイドレス工場は一度破壊されたからである。


破壊時には2次爆発が起こり多くの犠牲が出た。
一時病院がオーバーフローするほどの死傷者を出したこの空爆から数十日後、
避難民や復興に目処がついた鍋の国はアイドレス工場の再建を検討する事にした。

 それまでの情報収集により、鍋のアイドレス工場が狙われたのは、
鍋の舞踏子の力を脅威と感じたからこその工場への攻撃である事が判明している。
もう一度再建しても再び狙われ、鍋が焼かれたのでは意味がない。

「2次被害でおこったことを、繰り返さないように、対応します。
そして次は安全性を最大に考慮した工場を作ります。空爆になんか負けません」

藩王は先の発言をするとともにアイドレス工場再建チームを結成し再建設を決定。
工場建設チームと日夜会議を繰り返し、建設を開始した。

 アイドレス工場建設に対して一番に決めたのは工場の位置をどうするか? であった。
鍋の力を脅威と感じているのならば再び空爆の対象になるのは確定と考えられる。
そんな工場を再び同じ場所に建設すると狙ってくださいと言っているようなものである。
工場の建設場所は違う場所にしよう……。それは至極当然の考えであり、そして最初の課題でもあった。

 工場建設において問題となったのはどこの場所に設置するか? であった。
国の重要施設であるアイドレス工場が狙われた時、今回の空爆と同じく周りに被害が出る可能性が多いにある。
そんな工場の設置場所をどうするか? の会議は熱く、そして美味しい鍋を食べる時間もなく議論がかわされた。
本来、普段の会議ならば鍋を食べつつ会議する所ではあったが、さすがに今回はマジであったのだ。
鍋はあとで食べようと決意しつつも各位、意見を出し合った。

 一人が鍋の取手地方に設置したらどうだろう? と意見すると
自然破壊になっちゃうよとかシャルルがかわいそうだよと反論された。
(取手地方にはシャルルにしてまきさんのお家がある)
 ちなみに他の地方も大きく分けると食料生産地帯、観光地地帯となっており、
空爆されると大変困ることになる場所なのには変わりなかった。

「……こうなったら仕方ないわ。あの島を使いましょう」

 そして藩王の一言によりアイドレス工場の建設場所が決定されたのであった。


 工場の建設場所は人里離なれた場所でなければならない。
近隣の家や施設を壊すことのない場所……その目的に適った場所が人工島である。

鍋の国には国の防衛の為に一般公開されていない施設がいくつか存在している。
その一つが人工島「アイナベ島」である。



 この島は鍋の国の先代の王の時代に作られた島であり、
今は敵を察知する為のレーダー施設や海洋研究用の施設が置かれているだけの自然の多い島であった。
しかしこの島には膨大な広さを持った地下施設があった。

 元々この島は鍋の国が作ったものではなかった。
先代の藩王が王として現役だった頃に存在していた悪の秘密組織「モミジオロシ」が基地として利用していた場所であったのだ。

 先代の王の時代、鍋の国には悪の秘密結社や組織が数多く存在していた。
悪というからにはそれなりの目的がある。
この「モミジオロシ」の目的は鍋の国にある全ての鍋にモミジオロシを投入するという大変極まりない目的を持っていた。

 鍋の悪の組織には人の鍋を奪う、鍋はキムチ鍋しか認めないなどの様々な目的を持った組織があった。
そんな組織の中でもこのモミジオロシは鍋に次々と新鮮なモミジオロシを投入するという
大根なんかが嫌いな人には大変嫌われた組織であった。

この組織は新鮮なモミジオロシを作るために人工島を建設、
地上で大根栽培をおこない、地下に秘密基地を作るという二度美味しい秘密基地を作っていた。

 秘密基地なだけに島の事は一般国民には秘密にしなければならない。
港は本島の反対側にあるので海路は問題がない。
鍋には飛行場もあるので、飛行ルートに重ならない位置にて島は開発された。
また本島から位置がバレないように島には曇りのち曇りジェネレーターが設置された。
このジェネレーターは常時活動しており、島はつねに霧の中に隠されており、近辺の住民もこの島の存在を知らなかった。
特に港の反対側であり、わざわざこちらの海に漁に出るものがいなかったので知られる事もなく
島はひっそりとモミジオロシの為に今日も霧を吐き続けるのであった。

 そんなモミジオロシを筆頭とする悪の組織に対抗し鍋の正義を守る為、
先王は鍋国内に正義のヒーローを兼任する特殊部隊を結成した。
 この特殊部隊はいわゆる正義のヒーローとして活躍。
決め口上や必殺技を使用しており、
あくまで民間のヒーローであるスタンスを取る事により鍋の平和を守る事に一役買った。
いたずらに軍を使うのではなく、あくまで秘密裏に、趣味と実益を兼ねて先王は特殊部隊のリーダーとして活躍したという。
もっともその正体は国民には秘密にされており、その特殊部隊ナベレンジャーの各メンバーの正体は今でも謎とされている。
 そんな特殊部隊がモミジオロシを壊滅した後、この島は無人島として国家の管理する施設として放置されていた。
 管理といっても組織解体後の調査の後はときおり生態調査をするだけで置いておかれたのである。
秘密組織が利用していた島という事も秘密にされた。
先王は既に解決されている事件をわざわざあきらかにする必要はないだろうとし、
もし、近辺の住民がそれを知るとあまりいい顔はしないだろうという事を考え、
危険がないように調査した後は国の施設として管理、海洋調査用の施設を置くなどの利用しかしていなかった。
本島にまだ使える土地が数多く存在していたので交通、
輸送に手間がかかる島をわざわざ利用しようとは思わなかったのである。

そんな島の地下施設を再利用し、アイドレス工場の再建は行われたのである。

 組織時代からこの島の地下には設備がととのっていた。
なにせ鍋に存在している、もしくはしていた悪の組織は大抵の目的が鍋の鍋を奪うとか、
鍋の全ての鍋にもみじおろしを入れようとか、鍋に関する目的を持った悪の秘密組織である事が多い。

そんな組織だからか、島での水の管理や食材保存用の倉庫などには最善の配慮がされていた。
その為、数十年後に再び利用するという事になった現在においてもそのまますぐ使う
……という訳にはいかなかったが、ある程度の再利用が可能であった。

 また交通の便を考えて本島と島の間には橋がかけられた。
もう島を隠す必要はないので霧を発生させる事もなく新規アイドレス工場設置場所として島は公開された。
働く人々や鍋国民にいかに安全性を重視したのかをPRする必要があるからである。
ただし、知っているのは鍋国民だけで充分であり、
空爆以外の攻撃の可能性もあるという事で島と本島の間の橋には検問がかかっており、
簡単な質問(鍋国住民にとっては簡単な質問)やIDの提示などが求められるようになっている。(非常時は除く)

 また、安全に避難できるのはもちろんの事であるが、
本島での工場勤務と同じ食事、休憩、環境ができるようにと徹底して施設の改修が行われた。

特にどう考えても今までのアイドレス工場とは違って通勤時間がかかるようになる。

安全面から工場が狙われた時には周りに被害がないようにという事であるとはいえ、
通勤時間に相当する何か大事な福利施設が必要と考えられた。

 そんなアイドレス工場には従来の勤務後の鍋だけでなく、様々な施設が用意された。

まず、地下施設という事で島の地下には温泉が用意された。

勤務後には鍋を食べる以外にもお風呂に入りたいだろうと用意されたのである。
以前ならば近くにある銭湯という方法もあったが、今や、工場にお風呂が付くようになったのである。
お風呂は工場でできる余熱を利用されており、一石二鳥、鍋の後には雑炊で二度美味しいよねという理屈で作られた。
その為か、サウナなども併設されている。

 もちろん、施設はお風呂だけではない。
購買部も以前よりも大型店舗として設置された。
昼休みなどの食事タイムには鍋だけでなく食堂、購買部で購入などをしたのちに、
島の地上部分にある公園に出て緑で目を潤しながら食事をするという事が
働いている人の基本スタンスになるであろうと考えられた。

 そしてお風呂の後にはお酒を飲む人もいるだろうと通勤方法にはバスが用意されている。
それ以外には人によっては自転車で通う事もあるだろうと考えられて橋には自転車用通路も用意された。
この通勤は島から鍋本島に繋がる橋が利用されている。

橋自体は今回の工場建設に伴って建設されたものである。
また橋が使えないという非常時も想定し、島にはいくつかのボートが置かれている。

また、島には高度浄水処理施設も併設し、排水にも気をつかっている。


 工場の再建において重要視されたのは働く人がいかに気持ちよく働けるか? であった。


 その為に空爆を防ぐ為に施設を地下に設置。
その為、元々広大な地下施設が存在しており、民家からも離れたこの島が採用されたともいえる。


また火薬やI=Dの武器製造ラインなどの爆発危険物に関しては管理資格を持っている者を雇い厳重な管理を行った。
危険な場所にはできるだけ人を置かずに機械での作業を徹底。
他の働いている人がいるブロックとは一番離れた位置に設置した。
非常時には防火強化シャッターを下ろし、少しでも被害が少なくなるようにした。
また工場再建とともに以前工場で働いていた人には優先的に工場で働けるようにと連絡が行われ、希望者は再び工場で働けるようにした。

こうして人が集まる事により工場が再建されたのである。

 また工場を地下にしたのは他国からは場所がバレないように隠蔽するという意味合いもあるが、
いかに被害を少なくするか? という事を考えた結果の地下施設でもあった。
その為、地下と地上の間にはシェルターが張られており、少々の火力では工場内まで届かないようになっている。
重油も漏れないよう、特にその周辺は厳重に厚く張られている。

 工場が狙われるのは空爆、つまりは戦時中である。
今回の空爆を反省材料とし、戦時中には避難勧告を発令。
鍋の国全土において避難場所への移動や各場所に設置されているシェルターへの避難がより迅速に行われるように準備がされた。
特に避難訓練用のパンフレットが配布され、避難をするという事への民衆の意識、
空爆による実際の被害からも今まで以上の迅速な避難方法が鍋の国でも確立されるようになった。

 非常時における避難の必要性を政庁が判断した時には民間の情報メディア、それこそ鍋底放送局や鍋日新聞社などと協力し、
いち早く国民に知らせ、避難を迅速かつ的確にできるようにマニュアルが作成された。

 そして鍋の国でも狙われやすい可能性のある場所として、
アイドレス工場や政庁などの重要施設には戦時中には関係者以外はできるだけ立ち入らないように警告が出されることになった。
特にアイドレス工場は前回の被害を考え、戦時中は工場をストップさせる事にした。
元々、以前からアイドレス工場は24時間体制で稼動しているという事、
また機械の導入箇所が増えた事による作業の効率化を考えると一時期の間、工場をストップさせていても問題ないと判断。
それよりも国民の命の方が大切だとしたのである。
 ちなみに作業ストップ中も作業休暇特別手当が出るようにし、働いている人が困らないように対処している。

 また、戦は唐突にやってくる場合がある。
それを踏まえてアイドレス工場には避難の為のマニュアルや装備などいくつも用意されている。

 工場内の爆発物の近くには防火用シャッターがあり、爆発物関係の作業の多くは機械がやってくれているのは前記の通りである。
またそれ以外にも島と本島を繋ぐ橋の近くには非常時に使える自転車とバスが用意されている。
バスは普段の通勤においても利用できるものであるが、非常時の集団による脱出も想定している。
また島の海岸にはいくつかのボートが置いてあり、バスに乗り遅れた時、自転車での脱出が難しい時、
または橋が壊された時などにはこのボートで逃げる事も想定されて用意されている。

 そして交通機関を使って逃げられない時の為に用意されているのが脱出装置である。

 この脱出装置はサイベリアンの脱出装置を応用して作られた装置であり、工場内の各ブロックにそれぞれ規定数設置されている。
元々サイベリアンは共和国共通I=Dであるが、開発を行ったのは鍋の国であり、開発メンバーは鍋の国民である。
工場再建において藩王はサイベリアン開発チームに協力を要請し、
アイドレス工場用の脱出装置の依頼を行い完成させたのがこの工場用脱出装置であった。

 サイベリアンの脱出装置は宇宙、地上両方での脱出装置としての機能を加えられている。
アイドレス工場は宇宙に設置されているわけではないのでサイベリアンの脱出装置ほど細かい設計は必要ではなかった。
脱出時にバーニアを吹かして空高く飛び島から大きく離れ、パラシュートを展開させ海に落ちるようにコンピュータを設定、
乗組員が複雑な操作をせずとも動けるように設計された。

 また乗組員が避難民であり、正規のパイロットではないという事で
工場の避難訓練のプログラムには脱出装置の使い方の訓練が含まれており、
工場へ採用された時に最初に教わるのが脱出装置の使い方である。


 しかし、脱出装置とはいえ、空高く上がり落ちるのは一般人にとってはとても不安になるものである。
その為、訓練時には一緒にパイロットが乗り丁寧に教える事になっている。

 そしてサイベリアン脱出装置と同じくSOS信号と特殊衝撃緩和材がこの脱出装置には搭載されていた。
特にパイロットではなく一般人が乗り込むので衝撃緩和材の量を増やしている。
脱出装置作動時には緩和材がジェル状で展開され、避難民をしっかりと守れるようにカバーするようになっている。
また脱出装置が最終的に避難する場所が海なのでそこでSOS信号を発し、
国からの救援を待てるように避難食やラジオ、トイレなども搭載されている。

 落下地点である海からは潮の流れで自然と茜浜に到着するように計算されて射出されるが、
鍋の国本島に別の被害が出る可能性があるので数日間は装置の中で過ごせるように設計がされている。

 もし、アイドレス工場のある島が狙われた場合、直接狙われただけなら特に問題はない。
しかし、照準がズレたり、誤射される場合がある。それがもしかしたら海に当たるかもしれない。

もし、それが質量弾だったら? それも想定されていた。

もし質量弾が落とされたら鍋本島に津波が起きるかもしれない……という事も想定されている。

 しかし、南国である鍋の国は洪水対策に関してはプロ中のプロである。
津波対策ならへっちゃらさという訳ではないが、水ならばまだ慣れている。
アイドレス工場が島に設置されたのには的が外れた時の被害、
そしてその被害からの復旧が一番やりやすいからであるという理由もあったのである。
 被害がないのが一番である。
しかし、もし被害が出るとしても一番対処になれている水に関する被害ならばまだ対処しやすいであろう……
そんな理由からも工場の建設場所に島が採用されたのである。

 アイドレス工場の脱出装置は基本としては出番のないものである。
なにせ、戦時中には工場はストップし、人はいない。
さらに橋は立ち入り禁止になり可動部分を上にあげてしまうので実質島には渡れなくなっている。

 また避難の為に施設内には非常口がいくつか作られている。
緊急時には非常口を使い、バスやボートへと避難もしくは脱出装置へと向かうのである。

時には緊急時には焦っていて正常な判断ができないかもしれない。
その為、非常口近辺には避難誘導用のポスターが貼られている。

 工場に危険であるという情報が届くと同時に緊急対応チームが結成され、
空爆などまでの時間を調査、空爆などまでに時間がある時はバスへと誘導を開始する。
そして脱出までの時間がないと判断された時は脱出装置への誘導が行われるのである。

 新生アイドレス工場は安全に人々が働ける場所……そんなコンセプトで建てられたのであった。


(記述:銀内ユウ)

#グレーの設定文:空爆に遭う以前の設定
#黒文字の設定文:再建に伴う追加設定

r:これらの設定文は、国民番号管理所に名前のあるプレイヤー及び、鍋国民にのみ公開します。


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