●食糧倉庫

鍋を知り己を知れば百食あやうからず(tekioshirionoreobahyukusenayaukarazu)


 鍋の国の国民にとって大事なモノとは食べ物である。
鍋を始めとする数々の料理は鍋の民にとっては日々の至福であり、そして生きがいでもある。


 つい最近、鍋の国では食べ物のカテゴリー分けに関する法律が制定された。
それは、食べ物に関する大規模科学研究の結果である。(#アイドレス「鍋に関する大規模科学研究」)


 人の形質を守る為、安全安心健康食事生活を過ごすための仕組みづくりであり、環境を整える為の法律である。
食育、カテゴリーに仕分けた料理のレシピや料理番組による情報共有化により国民の食生活は変化した。
特に人の形質を守る為の食事、一般的に普通に食される「普通の食材」を使用した料理の需要が高まったのである。


 また家の食事だけでなく、学校や職場の食事においても安心安全な普通の食材を使った料理の需要が高まった。
人の形質問題は森国の砂と鍋の民の継承能力との相性、つまりアレルギーの問題であった。
そして子供達の抵抗力は大人程強くない。
そんな子供たちには生活をする上で、安全で美味しい食事を提供する学校給食において安全な食材を使用するのは必要不可欠なのである。


 需要が高まった普通の食材。
その全てが鍋の国で生産されているわけではない。
例えば鍋料理にかかせない白菜は鍋の国では生産できず、他国からの輸入に頼っている。
輸入された食材を保管する施設にも限界があった。


 今までの鍋の民は食材がない時は身近な所から食材を採取してきた。
その中には本来なら食用とされないもの、食用には不向きと思われるモノがあった。
人の形質問題の森国の砂も一般的には食されないモノである。
そんな食材を食べていた者達が普通の食材を食べるようになり、普通の食材の需要が高まる。
そんな需要を満たす為に食材を保管する食糧倉庫の増設が政府により決定されたのである。




鍋は天下の回り物(kanehatenkanomawarimono)

 食糧倉庫は元々鍋の国にもある。
国で一番丈夫といわれている「ナベヤシノ木」を使って建てられた木の建物である。
昔ながらの作り方で作られたその倉庫はねずみを捕獲する役目の番猫と管理人が管理しており、今でも鍋の国で採れた木の実や穀類を保管する倉庫は木材で建てられた食糧倉庫が使用されている。

今回は、そんな食糧倉庫とは別方向の食糧倉庫の建設が求められたのである。

 国が新たに増設を決定した食糧倉庫は冷蔵、冷凍、保存に向いたカタチのモノであった。
それには別の目的があった。

 鍋の国の流通業界は日々進化している。
特に自動車業界は産業として活発化の道を歩んでいる。(#EV165 産業育成準備で自動車業界を産業育成)

 そんな中、トラック、特に冷蔵、冷凍バンやコンテナトラックを用いることにより、輸入された食材をより新鮮なまま消費者の元へと提供する事が可能になった。


 今まではそのままで特に問題は起きなかった。
しかし、共和国経済が崩れることにより、食料を始めとして何もかもが高騰した結果、食べたい物が食べられない状態が続いた。

 カテゴリーブックによる安全な食べ物を選びたくても選べない時、そんな時の為にもしっかりと備蓄しておく食料が必要である。
食べ物が大事ならばどんな時でもしっかりと供給できる仕組みが必要である。
鍋の国政庁はそんな考えの元に食料倉庫の増設を考えたのである。


 もちろん保存食だけではなく、政策において農業機械を導入する事による食料生産の強化、食糧高騰時に魚を獲った事を踏まえた漁業の活発化等も視野にいれている。(もっとも、自然破壊に繋がらないように漁業も獲るだけでなく人工孵化等の研究を行っている)


 そんな食糧倉庫には輸出の面においてもメリットがある。
それは鍋の国で生産される食材を輸出し、鍋の国で作れない食料を輸入する為の保管倉庫としての機能である。
鍋の国の輸出入は環状線や港から行われる。
貨物車輌や船から直接コンテナをコンテナトラックで運び、仕分け倉庫で仕分けを行い、運んでいる。
食料倉庫においても規格を合わせている。
また食べ物には色々な形状があるが、運びやすいようにダンボール等の箱の規格化を行った。
中身はラベルで確認するようにし、ラベルを読み取ることによりコンピュータで情報を管理、在庫管理をコンピュータで一括管理することにより、作業をスムーズに行えるようにしたのである。


 また、食糧高騰などの緊急時の為に普段使用している食糧倉庫とは別に、鍋の国政庁近くの食料倉庫には食料が備蓄されている。
備蓄されている食料はしっかりと管理されており、消費期限切れになる前に食材は入れ替えを行い、しっかりと管理している。
余談ながらも消費間近の食材は政庁食堂や公共施設の食費変わりとして消費を行っており、この備蓄食料の管理サイクルもコンピュータで無駄が出ないように管理している。


 民間においても政府に負けるかとばかりに食糧倉庫の建設が進められた。
その建設は日用品や雑貨などの保管倉庫と合わせて行われたが、鍋の民にとってはやはり食料大事という事なのか、倉庫建設においても温度管理が重要な食糧倉庫の建設が圧倒的に多かった。


 民間において特に重要視されたのは在庫管理である。
政府の場合は備蓄倉庫という面が重要視されることもあり、倉庫からの出し入れは民間から比べると最小限ですむ。
しかし、民間においては保管するのは商品をスムーズに消費者に提供する為のものである。
温度管理はもちろんであるが、的確に出し入れを行うシステム作りが必要だったのである。
民間会社は政府も行っているラベルによる情報のやり取りを強化し、コンピュータにより発注する適切な量を計算し、そして入庫、出庫をダンボール一つ、1ロットごとに管理を行った。
これも全ては消費者の需要に応える為であった。




使った鍋にはコゲがつく(arukuashinihadorogatsuku)


 従来の食糧倉庫には「番にゃんこ」という猫が住んでいる。
倉庫の管理人が買っている猫であり、そしてネズミ狩り用の猫でもある。

 食糧倉庫あるところにネズミあり。そんなネズミ対策としての猫である。

しかし、猫がネズミを取らない時もあるのではないか? 

 そんな時の為にも食糧倉庫のネズミ対策は二重三重の備えがされている。
支柱にはネズミの侵入を防ぐ「ネズミ返し」。倉庫内部にはネズミ捕りの罠がある。

「番にゃんこ」が昼寝をしていてネズミが取れなかった……そんな時にも支障はでないようになっている。
何よりも猫がいるだけでねずみはよりつかなくなると言われているため、昼寝をとがめることはない。
そこにいるだけで番人もとい、番猫となっているからこそ「番にゃんこ」なのである。

もっとも、「番にゃんこ」がいるのは倉庫の管理人や従業員に癒しを与える効果があるとも言われている。
最初に「番にゃんこ」を導入した管理人が猫好きだったから、とか王猫様のお散歩ルートにある食糧倉庫ではネズミが出ないから「番にゃんこ」を導入したとか様々な説があるが、いずれにしても従来の木造の食糧倉庫では「番にゃんこ」を飼うのが定番となっている。

「番にゃんこ」本人もその為に飼われているのを承知しているのか、はたまたちょっとした運動としての狩りとして行っているのかは定かではないが、ネズミ捕りのお仕事をしっかりとこなしてくれる。
もっとも、猫としての習性なのか、「ねぇ、みてみて」と飼い主に捕ったネズミを見せびらかしたりもする。
しかし、「番にゃんこ」として立派にお仕事をしている証拠でもあるので飼い主が喜び、そして狩り、お食事、お昼寝ののんびり生活を過ごしている。
時々番にゃんこに癒されたい飼い主のお相手をする事もあるが、それは許容範囲であり、時にはご褒美のまたたびを嗅ぎ、のんびりまったりまったりなーと猫達も職場に満足しつつ日々を過している。


 そんなネズミ捕りの為の対策は最新の食糧倉庫にもある。
といっても鼠対策だけではない。

ネズミ、ようするに泥棒対策である。

急いては鍋を仕損じる(seitehakotoshisonjiru)

 泥棒という存在はどの国、どの時代においても存在しているものである。
ゆえに、倉庫においても防犯は意識されている。
人の出入管理はもちろんであるが、物の出入管理も行っている。
警備員を常駐させ、監視カメラや機械警備も行っている。
泥棒はもちろんであるが、センサー等を設置する事により火災等の災害においける対策も行っている。

 食糧倉庫における防犯意識は高い。
他の倉庫に置いても防犯は重要視されるが、なんといっても食糧は人の生活にかかせない物である。
特に災害時や食糧高騰時には厳重な警備が必要になってくる。
その為、警備機器のメンテナンスはもちろんであるが、警備員の研修や訓練にも力を入れている。
特に最近では倉庫警備だけでなく、観光地や港の警備員、駐車場の警備員などの警備業界と合わせて警備の研修を行っており、犯罪に対する備えだけでなく、いざ非常時という時の備えや準備を抜かりなく行っている。


 犯罪や災害は起こらない時は起こらない。
しかし常時準備を行い、対策を行う事により、被害を最小限にする事が可能になってくる。
そんな来るかもしれない日々の為に今日も警備員達は「異常なし」を目指し、警備のプロフェッショナルとして活動しているのである。




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<おまけことわざ辞典>

●鍋を知り己を知れば百食あやうからず(tekioshirionoreobahyakusenayaukarazu)
 鍋料理のレシピを知ることにより、美味しい鍋料理が食べられる。さらに鍋に使用されている食材の原産地や安全性をも自ら調べ栄養バランスを考えて食することにより、一食だけでなく百食、千食べても安全安心生活が過ごせるという意味(※一度に沢山食べても大丈夫という意味ではない)。食育の大事さを説明していることわざではあるが、最近では「自分で知識を深めることにより、その分野において更に成長できる」という意味としても認識されていることわざ。

●鍋は天下の回り物(kanehatenkanomawarimono)
 鍋の国において鍋料理は街の中どこにおいても食されている料理である。そんな鍋料理は例え、今日食べられなかったとしても明日食べられる機会が訪れるだろう、鍋料理はつねに常に世の中(鍋国内)を巡っているのだからという意味のことわざ。「鍋」の部分を鍋料理ではなく鍋と解釈し、鍋はどの家庭でも使用される。そして形あるものはいつか壊れる時がある。鍋は売れ続ける商品であると解釈するビジネスマンもいる。もっとも壊れるといっても大事に使えば壊れにくいモノではあるが、最近ではマイ鍋として「自分だけのオリジナルデザインの鍋を持とう」というデザイン受注型のビジネスや一人鍋用の鍋、雑炊専用鍋などの数多くの鍋が国内で販売されており、まさしく鍋は天下の回り物であるという一面がある。

●使った鍋にはコゲがつく(arukuashinihadorogatsuku )
 使った鍋にコゲがつく事もある(おこげ雑炊とかすれば特に)。コゲは洗うとき大変。そんな事から何か物事を行うと、それに伴って煩わしい作業、面倒な作業が生じることを意味することわざ。

●急いては鍋を仕損じる(seitehakotoshisonjiru)
 鍋を早く食べたいと慌てて作っても生で煮えてなかったりする。また最後の仕上げの雑炊(うどん)だって最後の出汁を使うからこそ美味しい。最初からしても美味しくないよという意味。そんな事から何事においても慌てて行ってもおいしくない、失敗、マズイ結果になるよという意味のことわざ。慌てないで物事を行おうという意味から慎重に行動しよう、準備万端で物事に臨もうという時によく使われる。





(文:銀内 ユウ)
(絵:矢上ミサ)

L:食糧倉庫 = {
 t:名称 = 食糧倉庫(施設)
 t:要点 = 食糧倉庫
 t:周辺環境 = 備蓄されている食糧,ネズミ捕りのなにか
 t:評価 = なし
 t:特殊 = {
  *食糧倉庫の施設カテゴリ = ,,国家施設。
  *食糧倉庫の位置づけ = ,,生産施設。
  *食糧倉庫の面積 = ,,1000m2。
  *食糧倉庫の食料生産 = ,,(生産フェイズごとに)食料+15万t。SHQ取得HQ継承(1世代)により+15万t=30万t
 }
 t:→次のアイドレス = 食品加工工場(施設),陸軍兵站システム(技術),豊饒の大地(施設)




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