L:狼群戦術 = {
 t:名称 = 狼群戦術(技術)
 t:要点 = 小さい群れが,大物を,狩る
 t:周辺環境 = 宇宙


L:狼群戦術 = {
 t:名称 = 狼群戦術(技術)
 t:要点 = 小さい群れが,大物を,狩る
 t:周辺環境 = 宇宙
 t:評価 = なし
 t:特殊 = {
  *狼群戦術の技術カテゴリ = ,,組織技術。
  *狼群戦術の使用制限 = ,,搭乗状態の、パイロット職業しか使うことができない。
  *狼群戦術の戦術能力 = ,,数に2倍以上で勝る場合に攻撃をしたとき、攻撃対象の大型I=D、艦船、宇宙艦船は必ず破壊される。
 }
 t:→次のアイドレス = なし
◆戦力強化の必要性

 共和国I=D国家の一つに鍋の国がある。

鍋の国は共和国共通I=Dを初期Tから作り続けている国家である。一時期はアイドレス工場稼働停止に伴い技術力が低下したが、共和国宇宙戦艦開発や整備交流、自動車産業の活性化と次々と行われる活動により技術力回復、そして向上を目指している。


しかし、一つ問題があった。それはI=Dを使用する人、つまりパイロットの問題である。鍋の国のパイロットと言えば、一時期は鍋シニアンと呼ばれる鍋の国の舞踏子パイロットの戦闘能力は有名だった。もっとも最近では他国にも優秀なパイロットが生まれ、鍋の国パイロットの強化も頭打ち状態であった。

 最近において開発されたリファインサイベリアン。また鍋の国内に整備士(#個人職業取得)が誕生し、鍋国内においてのI=D運用においての問題は次々とクリアしてきた。しかし、パイロットのレベルを上げるという問題が残っていたのである。

 鍋の国の舞踏子を初めとするパイロット達は日々訓練を行い、切磋琢磨している。しかし、内部だけでの訓練では限りがある。その事に対する対処方法として様々な方法が行われてきた。I=Dをただ動かすだけでなく、僚機といかに連携ができるか? このシチュエーションではどういう風に動けば敵の行動を阻害できるか? 様々な訓練を行ってきた。ただ動かすだけではなく、一人のパイロットが動いて敵を倒すのではない。実際の戦闘時には複数のI=Dが協力して敵と戦うのである。その協力して動く訓練を重点的に行なっていた。

 そんなおり、鍋の国歩兵に新たな道ができた。海兵隊である。鍋の歩兵は石塚弘史氏と若宮泰光氏の協力により海兵隊と生まれ変わったのだ。そして海兵隊の活躍は凄まじく、後に上級海兵という名の熟練兵をも誕生させる。

 歩兵は新たな協力者、石塚弘史氏と若宮泰光氏により強化された。ならばパイロットもパイロットだけに拘ることなく、他の者の協力を得ればいいのではないか? そうして鍋の国パイロット強化相談会議が行われた。一回目の会議にはパイロットの分野だけでなく、I=D開発部門の者、整備士とI=Dに関わる者を集め、行われた。本来なら、パイロットの訓練に開発者や整備士は関係ない。しかし、I=Dを別視点で見ていた者の意見も取り入れる事にしたのである。

 この第一回会議において、ある整備士が言った言葉が一つの始まりであった。


「パイロットの技量の差もそうですけど、整備畑の人間としては技量だけでなく、機体の事を考えて動かすパイロットもいいパイロットですよ。I=Dは人型ですので、損傷箇所も人に準じます。自分の身体を動かすように無茶しないで欲しいって思う機動をする人もいるんですよ。実地訓練の度に同じ箇所を損傷させるような操縦方法は見直して欲しいですね」

 機体の事を考えて動かすパイロット、自分の身体を動かすように……そんな言葉を聞いたパイロット戦術担当者は部外者への協力を思いついたのである。それは海兵隊との協力訓練である。

 I=Dの運用において、I=Dの戦術や戰闘訓練は基本的にはI=D運用に関わる人のみで行われている。しかしI=Dは人型である。ならば、人と同じような戦術を使用する事もできるであろう。折しも鍋の歩兵は海兵隊となり、新たな戦術、武装、訓練を行い始めた所である。戦術担当者は早速海兵隊に協力を要請、戦術担当者同士の戦術交流会や、パイロットと海兵隊の合同訓練を行ったのである。

 合同訓練といっても、I=Dに載って海兵隊と一緒に訓練するだけではない。時にはパイロットもその足で地に立ち、海兵隊と一緒に訓練を行ったのである。鍋の国パイロット達は学生時代、鍋の国鍋野高校パイロット科で訓練を行いこの訓練では肉体訓練が行われている。また、舞踏子も白兵戦訓練を行っているが、海兵隊のような歩兵と最新の訓練を行う事により人の身体の動かし方、連携の仕方を学び、I=Dでもその行動が行えるように訓練は続けられた。

 また、戦術においても人と同じ戦術が使えるのではないか? それを踏まえてパイロット、歩兵両方の戦術担当者は議論を行い、I=D戦術の強化を行った。それこそI=Dは人と同じく手がある。通信だけでなく、ボディランゲージで指示を行う方法や武器においても海兵隊で実際使用している武器の使い方とI=Dの武器の使用方法を比べ、今までにない使い方はないのか? より改善できる事はないか? と研究が続けられている。


◆戦術の構築


 鍋の国パイロットの強化としての戦術の研究において、第一に必要と考えたのは「切り札」である。

 それは数T前に活躍した「鍋シニアン」からきている。鍋ニシアンは舞踏子とアビシニアンの相乗効果により力を発揮したものであり、活躍もしてきた。しかし、鍋シニアンはアビシニアンと搭乗している舞踏子のみの相乗効果である。鍋シニアンの能力は高いが、あくまで単体である。単体であるからには数には弱い。大多数の敵にはARが切れ、手数が足りず対処しきれない……この弱点を応用できないか? そこから始まった。

 それは大型、大物対策である。大型I=Dであるアビシニアンやそれ以上の大型と戦う時の為の戦術である。
大物対策戦術が選ばれたのは結果である。元々は鍋の国I=Dの中でも最新鋭機であるリファインサイベリアンやスフィンクスが機動性を重視(#評価で敏捷が一番高い)している機体である事が理由だった。機動性の高いI=Dで使用する戦術となると敵を撹乱、翻弄。いつのまにか背後や死角に回って一撃を入れるといったような戦術が考えられた。

機動により相手を翻弄、時には弾幕を張り敵の行動を阻害し、前から横から時には後ろからと回りこみ絶え間なく攻撃する。数を力とし、先回りや攻撃のタイミングを調整し、いつ、どのタイミングで攻撃をするかは相手に悟らせない。戦術の基本としてはこちらは多数、相手側は少数を想定。絶え間なく攻撃することで相手が休めず、疲労したその瞬間に仕留める……そんな狼の狩りのような戦術である。

 この戦術を行うには緻密な計算と連携が必要とされる。通信だけでなく、時は目視確認も必要であろう。海兵隊とパイロットの共同訓練に「ボディランゲージで指示を行う方法」なども含まれていた為、状況に応じてはI=Dの手で意志を疎通させる事も考えた上で戦術の構築が行われた。もちろん基本としては通信を使用してはいるが、非常時でも問題なく戰闘ができるように考えたのである。

 また、どんなI=Dでも使用できるように様々なパターンが考えられた。おとり役は一番敏捷の良いI=Dまたは反応の良いパイロット。弾幕を張る場合、サイベリアンはミサイルポッドで一点射撃を行いリファインサイベリアンは機動し相手の周辺を回りながらながら76mm高初速砲で行動阻害といったようにその部隊編成に合わせて戦術パターンを構築、状況合わせの為に数種類のパターンが用意され、出撃までの間、パイロット達はその戦術戰闘をシミュレータで訓練している。これは毎T、編成が決まった後、訓練メニューに追加される事になっている。

 この戦術の動きは一言で集約するならば「小さい群れが走り回り、相手を疲労させて狩る」の一言になる。白・近距離においては基本敵の死角をとる等の機動性を軸した戦術となり、敵の背後を取るのが難しい中・遠距離においては弾幕で死角を生み敵の視界を奪い、絶え間のない集中砲火を浴びせることを主軸とする。そう、この戦術は敵に隙も逃げ場も与えないことを第一に考えられている。途切れることのない手数で攻め、大物を狩るその動きが狼のようである事、また戦術構築に貢献した鍋の国海軍(海兵隊)に敬意を表して、海軍の戦術である狼群戦術の名前がつけられた。



◆SS◆ Side A:「猛がもえたぎる」

「真人、今だ!」

「OK、猛!」

 真人からの合図と同時にオレは隠れていたデブリから勢いよくバーニアを吹かせた。狙うは敵の真後ろ。敵はこちらに気づいたのか、振り向こうとするが、そこは猛が搭乗しているスフィンクスのレーザーキャノンが降り注ぎ、行動を阻害。その隙をついてオレの愛機であるリファインちゃんの大型レーザー砲でピンポイントショット。クリーンヒットしたその一撃は敵を宇宙の藻屑と化したのである。

「ミッションコンプリート。シミュレータ搭乗者が降機次第、次のグループに移行してください。」

 オペレーターの声が聞こえる中、オレは表示された採点表を凝視する。……70点か、美影のヤツは88点だったハズだ。まだまだではあるが、前回より5点上がっている。いずれ追いついてやる……。

「おーい、猛。後つかえてるから急げよ〜」

「おう、すぐに行く!」

 採点表を閉じ、シミュレータを降りたオレを待っていたのは真人……だけでなくあいつも何故かいた。

「美影……なんでお前がいるんだ?」

 鍋乃坂 美影。オレのライバルであり目標。しかし、こいつは別クラスであり、今、シミュレータを使用しているのはオレ達のクラスだけだが……?

「ふふ、単純な話ですわ。講師の方がお休みなので今の私は自習中なのですよ」

 疑問がオレの顔に出たのかあっさりと答えを言う美影。しかし……。

「自習なのはわかるけど、なんでこんなことにいるんだ?」

「っ! ど、どうでもいいことじゃありませんか! それよりも火鍋君。あなた、まだパイロットを目指すというのですか?」

「別にいいだろ……」

 こいつは事あるごとにオレの進路に文句をいいに来る。現状では一方的にライバル視している状態だが、どうもこいつからは格下扱いされているようである。……いや、まぁ事実だけど、今はまだ……。

「よくありません。第一、男性の方でパイロットを目指すのはどうかと思いますわ。パイロットを目指すならまだWSOを目指せばいいのではないですか?」

「だから、別にいいだろ……」

 オレがどんな道を目指そうがそれこそオレの自由。だが、こいつは何故かオレにWSOを進める。

「……あのー、僕はいいんですか?」

「……ともかくも、あなたがパイロットを目指しても限界は見えています。」

 真人の言葉をスルーして断言する美影、理由はわかるがそれで諦めるぐらいなら、もっと昔にあきらめている。

「オレの道はオレが決める。美影、お前に決めてもらう謂われはねぇよ」

「……WSOではダメですの?」

 美影が上目づかいでこっちを見てくる……なんというか居心地が悪い。だが、これはオレのポリシーなので誤魔化すわけにもいかない。

「オレはサブパイロットになりたいんでなく、パイロットになりてぇの」

「……そうですか」

 何が残念だったのか、トボトボと帰る美影。なんでそんなにオレをWSOにしたいんだ?

「はは、まぁいわゆる乙女心というか、まぁねぇ……」

「?」

 真人もよくわからない事を呟いた。まったく意味わからん。


◆SS◆ Side B:「美影がみかげる」

「にゃー」
「おめでとう、これが君のガーターベルトだ」

「ありがとうございます」

 王猫様から渡されるのはガーターベルト。舞踏子としての最初の任務でもあり、誇りでもある任命式が終わった私はすぐに鍋高に戻った。一番に報告したい相手は……彼だ。

 鍋高に戻った私は早速手帳をチェック。彼は今の時間はシミュレータ訓練か……訓練室に入った私の元に入った第一声はシミュレータ訓練中の彼の声だった。

「OK、猛!」

 彼の声にシミュレータの映像を見るとデブリから勢いよくバーニアを吹かせるリファインサイベリアン。動きに彼のクセを見た私はそれが彼の機体と確信した。まぁ彼が単純に最新鋭機が好きなだけ……とも言うが、まぁ見分けられたのだから問題はない。

彼に釣られるように敵が振り向き、そしてその隙を狙うようにもう一つの僚機、スフィンクスが狙撃し、敵を翻弄。そして彼が撃った一撃が敵を落とした。あのコンビネーション、おそらくはシミュレータ訓練の相棒は彼の親友である鍋木真人であろう。

「ミッションコンプリート。シミュレータ搭乗者が降機次第、次のグループに移行してください。」


 オペレーターの声が聞こえる中、私は彼が降りてくるのを待つ。身につけたガーターベルトに気づいてくれるだろうか? 学生の間に誰でも舞踏子になれるわけじゃない……舞踏子になった私を最初に褒めてくれる相手はできれば彼がいいのだけれど……。


「美影……なんでお前がいるんだ?」

 彼が私を見つけた第一声はそんなおまぬけな言葉だった。結局舞踏子に気づいてくれなかったようだ。ちょっと残念。でも、ここにいる理由、つまり舞踏子任命式で授業は公休だった事は言いたくない……というか、彼自身が気づいてそして、褒めて欲しい。

「ふふ、単純な話ですわ。講師の方がお休みなので今の私は自習中なのですよ」

 無難な言い訳を言葉にする。横にいた鍋木君の顔がしかめている。おそらくは気づいたのだろうが、ありがたい事に特にツッコミはない。

「自習なのはわかるけど、なんでこんなことにいるんだ?」

 と思ったら彼からツッコミが入った。ってなんで? ガーターベルトに気づいてくれない? わりと目立つようにミニスカートを着用してきたのに……。

「っ! ど、どうでもいいことじゃありませんか! それよりも火鍋君。あなた、まだパイロットを目指すというのですか?」

 私のとっさの言葉に彼の顔はみるみるうちに悪くなる……しまった、今日はいつもの言い争いはする気がなかったのに……。

「別にいいだろ……」

 彼の不貞腐れた顔がかわいいと頭の端で思いつつも、別に良くない、断じて良くないので反論をしてしまった。

「よくありません。第一、男性の方でパイロットを目指すのはどうかと思いますわ。パイロットを目指すならまだWSOを目指せばいいのではないですか?」



 彼は男の身でありながら、パイロットを目指している。男性が舞踏子になることはできない。その為、どうしても男性パイロットには限界がある。それでもパイロットを目指すならば、WSOやスペーススターシップオフィサーでコパイや宇宙艦船の道を目指す者が多い中、彼はあきらめずにI=Dパイロットを目指している。

「だから、別にいいだろ……」

 男性パイロットとしての道は狭い。舞踏子でない優秀なパイロットを目指すのは先人のない道を歩くことになる。なのに、別にいいだろ? の言葉一つで彼は進む。一体、彼の何がそうさせるのだろうか?

「……あのー、僕はいいんですか?」

 横にいる鍋木君も何か言っているようだが、本件にはあまり関係ないので無視とする。

「……ともかくも、あなたがパイロットを目指しても限界は見えています。」

 私の言葉は届かない。

「オレの道はオレが決める。美影、お前に決めてもらう謂われはねぇよ」

 拒絶。

「……WSOではダメですの?」

 彼がWSOになれば、編成によっては彼と一緒の機体に乗れるかもしれない。私の目線に一瞬ひるんだようになった彼だが、その後、私の目を見つめて返答する。

「オレはサブパイロットになりたいんでなく、パイロットになりてぇの」

「……そうですか」

 私の誘いを一刀両断。あっさりと彼は提案を振った……あ、いえ、別に今のはWSOにはならない、であって別に恋人にはならないと謂われたわけではないけれど……。

 結局、その場を立ち去った私は「彼に舞踏子になった事を褒めてもらう」という
本来の目的を忘れていた。気づいたのは家について、家族に褒められた時である。ミッション失敗……明日は気づいてくれるだろうか?


◆SS◆ Side C:「鍋木 真人の観察日記」

 最近の僕は心の中に観察日記をつけている。

題名は「火鍋猛と鍋乃坂美影の交流観察日記」

 この二人は見ててると飽きない。


1月08日
 相変わらずな二人。今日は猛がシミュレータ訓練テストで高得点を出す。が、負けじと挑戦した美影さんが点を上回り、両者緊迫状態……と思いきや、次の時間の戦術勉強会では二人して同じ戦術を語り合う。仲が良いんだか、悪いんだか……。


2月12日
 今日は美影さんの調子が悪かった。猛相手の言い争いには負けるわ、唐突に顔を真っ赤にするわ。猛曰く「あいつ、今日調子悪いんかね?」
 やれやれ、乙女心に鈍い猛もそうだけど、今日という日も言い争いをする美影さんも手に負えないよね。まぁ、14日じゃないから猛が気づかないのも無理ないかもしれないけどね……反対に美影さんもさすがに休みの日に渡す程器用じゃないだろうし、こんなところであろう。 


3月10日
 最近、美影さんが挙動不審である。初めは先月にチョコ渡せたんで、その返事待ちで数日前なのに動揺しているのか? とも思ったが、猛の調子は変わらず。理由を考えて思考してみる。来期のクラス替えだろうか? 彼女は優秀なので恐らくは舞踏子候補生クラスになるだろう。僕達は男性なので優秀でも舞踏子候補生クラスにはなれない。それが理由だろうか? 


4月7日
 僕の予想通りに猛と美影さんは別クラス。まぁ僕は猛と同じクラス。やーい、羨ましいだろうなんて言葉を吐く事はないが、まぁそれよりも……うちのクラスは男性だけでなく女性も多い。
成績を調べたところ舞踏子候補生クラスの次に成績が良いようだ。どういうことだろう? 結局男性は舞踏子になれない=成績に関係ない標準クラスになると思ったのだが? 僕も猛も進路表にはWSOとかスペーススターシップオフィサーを志望とは書いていないのにね、うちの男子はそういった者ばかりであった。ちなみに美影さんは休憩時間中にうちのクラス前の廊下を行ったり来たり、入る理由がないから入れないんだね。

5月18日
 担任の教師にそれとなく調査した結果。うちのクラスの理由が判明。どうやら舞踏子とは別に男女関係なしの優秀なパイロットの訓練育成を行う事になったようだ。男性パイロットの道も徐々に広がりつつあるという事だろう。ちなみに美影さんは協力者を得たようで、休憩時間中、ちょくちょくクラスに女性の友人に会いに来る名目で入り、猛と会話している。というか、まぁ言い争いか。どうも猛がWSOになれば一緒の機体に乗れるかもと考えているようである。まぁ、猛の性格上無理な話だね。そもそも、猛も自分もパイロットとしての道を選んだ……その想い、I=Dへの熱い想いと男のロマンというものはそうそう崩せるものではない。


6月11日
 訓練に本格的に戦術が導入された。二人組、四人組、六人組でチーム編成がされ、どのような戦術を使用するかの検討、シミュレータ訓練での実践と本格的になる。ちなみに僕はどの編成でも猛と組んでいる。まぁ相性はバッチリだしね。猛はどうも「狼群戦術」が気に入ったらしい。なんでも鍋戦隊ナベレンジャーの攻撃に通じるものがあると興奮しているが……狼と関係あるのか? まぁ軍関係者の親父によると狼群戦術自体は鍋のパイロット戦術に組み込まれる予定という話だったので丁度いいけどね。連携というか合体攻撃というか、そういうのもロボ魂には欠かせないものである。


7月08日
 今日、美影さんが舞踏子のガーターベルトを着用していた。うちのクラスの他の男性パイロット諸君はミニスカートに気づき、顔をゆるめた後に気づいていたみたいだが、猛はまったく気づかず。まぁその方が面白いし、都合がいいんだけど……なんだろうね? 猛の鈍感さは……。いいかげんまとまらないと自分も先に進めないんだけどなぁ……。


8月31日
 猛がやっと美影さんのガーターベルトに気づく。遅い、遅いよ。いや、まぁいいけど……。


9月09日
 戦術の授業がより本格的になり、舞踏子候補クラスと共同訓練が始まった。うちのチームはもちろん狼群戦術一択。まぁ僕も今後を考えると問題ナシ。猛はもちろん狼群。美影さんも猛に釣られて狼群となると、まぁ残り三人も狼群でイイヨってなるよね。
 鍋の国パイロットの方でも狼群戦術が第一戦術として確立し、訓練も佳境に入っているらしいしね。え? 二人の関係は相変わらずだよ?


10月08日
 鍋の国パイロットの本職の人達との合同訓練。なかなか有意義であった。特に現場のパイロットが使う狼群戦術のキレの良さ。見学もできたし、実際に模擬訓練で対峙もできた。切れ目のない攻撃、異方向からの攻撃、その動きはまさに群狼であった。というか、いつの間にか背後にいたと思えば横にもいるわ……僕達が覚えた狼群戦術をより実践的に使用、敵によって臨機応変に対応しているその動きはまさに狼達の狩りだった。もっとも対峙中は冷静に見られなかったし、それどころじゃなかったけどね。しかし、戦術か……舞踏子と違って男性、女性の区切りなく覚える事ができる技術。これを発展させ熟練させることにより、パイロットとして、より高度な操縦能力を持ったパイロットになるという道を目指せそうだ。


11月01日
 猛の調子がいつもと違う。美影さんとの言い争いもいつもの切れがない。そして美影さんも顔が赤い。もしかして知らないうちに告白したのか? とうとうヤツも年貢の納め時か? と回りの連中は騒いでいた。

 しかし、実際は今日が猛の誕生日だったらしく、誰かがおめでとうというその時を待っていたらしい……。美影さんは誕生日だったのを知っていたらしく、言うチャンスを待っていて、顔が赤くなっていたらしい。……調べたらすぐにわかったが、猛の誕生日に気づかなかったのは不覚であった。

美影さんが猛におめでとうと言う前に猛に祝いの言葉を捧げた。ちなみにクラス全員で……狼の遠吠えのように皆が叫んだその姿はまさに狼群……。みんなの合唱に猛は感動。言い逃した美影さんはふてくされ気味。そうそう簡単に二人の間に決着をつけさせるような事はさせんよと行動、企画した行動であった。サプライズだったので猛もクラスの皆もいい顔をしているが、まぁ美影さんには微妙に悪いことをした感はあったのだが……この際、その事は気にしない事にしよう。まだ先は長いのであるから……。


12月02日
 鍋高の卒業前の修学旅行として、舞踏子クラスとうちのクラスは宇宙への旅行が決まった。目的はもちろん、狼群戦術を踏まえた上での宇宙での実地訓練である。鍋の国の本職のパイロットの方々の宇宙における戦術訓練が終了した為、僕達にもその機会が訪れたらしい……正直嬉しい。宇宙である。宇宙を翔けるI=Dに乗る自分を連想するだけでワクワクモノである。I=Dが好きな猛はまぁ、いつの訓練でもワクワクしているが、宇宙訓練と聞いたその日だけは、猛以上にワクワクしている自分を自覚した。僕もまた、猛のように新たなパイロットの道を拓く先駆けになりたいのかもしれないな。


絵:矢上ミサ
文:銀内 ユウ